アルセーヌ・ルパンシリーズの『813』を読みました。昔一度読んだことがあったんですが、ルパン物を読みたくなって読み直しました。
推理小説、冒険小説なので内容をあんまり説明できないのがもどかしい。。。
南アフリカのダイアモンド王ケッセルバック氏が、何者かに拘束されるところからストーリーが始まります。
ケッセルバック氏を拘束したのは、すでに盗みの第一線から退くことを表明してから一度も新聞に名前が挙がらなかった大怪盗アルセーヌ・ルパン。
翌日発見されたケッセルバック氏は殺害され、現場には血で汚れたルパンの名刺が落ちている。
決して人を殺すことがなかったルパンが起こした初めての「殺人事件」。
この「殺人事件」に始まる数々の事件を巡って、ルパンの冒険が繰り広げられるわけです。
ルパンの本名は、ラウール・ダンドレジー。
怪盗としてのルパンは、母方の姓ルパンを名乗っているわけです。
怪盗としても本名のラウールを使って、正式にアルセーヌ・ラウール・ルパンと名乗っています。
他にもポール・セルニーヌとか、ドン・ルイス・ペレンナとか、いくつもの名前を持っています。
その人が本当にその人であるということを立証するのは難しいことです。
ラウール・ダンドレジーはラウール・ダンドレジーであるはずなのに、ラウール・ダンドレジーはアルセーヌ・ルパンであり、ポール・セルニーヌであり、ドン・ルイス・ペレンナでもある。
どれが本当かと言えば、どれも本当ではない。
同じ人格が持っているいくつもの顔という他ない。
同じ人格でありながら、別の人物であるこれらの名前は、それぞれがそれぞれの空間と時間を生きて、それぞれがそれぞれの人間関係を築いている。
図らずもアルセーヌ・ルパンを尊敬してしまうことになっても、自分が尊敬していた人物への尊敬は失えない。
相手のもう1つの顔が、自分の生命を脅かす存在でもない限り、人はその尊敬を抱き続けてしまう。
隠れた真実と見せ掛けの現実という、人間の世界の二重性を追究した冒険小説です。
その二重性を求め、その二重性を利用し、その二重性に裏をかかれるルパンの冒険は、時に絶望の淵に叩き落されるけど、誰にも負けないほど強い生きる情熱が何度もルパンを生き返らせる。
ルパンは、死ぬまで生き続けなければいけない。
誰よりも強く生きることを運命付けられた孤高の怪盗が迎える人生の転換の時を描いた全2巻の大作です。























