2008年03月11日

『GiNGA』映画レビュー

ジンガ The soul of brasilian football『GiNGA』という映画を観ました。
ブラジル人特有の身体のリズム「ジンガ」にスポットを当てたドキュメンタリー映画です。

「身体が生来的に持っているリズム」がジンガなんですけど、映画に出てくる人たちのコメントでは、「ジンガはみんなが持ってる」って言う人と、「ジンガは特別な人にしかない」という人とがいて、どっちだよって感じです。

でも、この映画を観ているとだんだんジンガが何なのか見えてきます。


ブラジルと言えばサッカーですが、実は他にも人気があるスポーツがいくつもあるんです。
フットサルもそうだし、フットバレーとか、カポエイラっていう格闘技もあります。

そういうスポーツの中で、ブラジル人の能力として世界と一線を画しているのがリズム。
サッカーで言うと、ロナウジーニョのボールコントロールやロビーニョのドリブルは独特のリズムとタイミングを持っていて、世界トップのディフェンダーでもついて行けないほどです。

不思議なことに、ブラジル人にはそういう不思議なリズムを持っている人が多くて、そのリズムに乗った時の彼らは文字通り「不可能なプレーを可能に」してしまいます。

他の国にはなぜか、そういう選手はあんまりいない。
独特のリズムを持ってる現役選手と言えば、アルゼンチンのメッシ、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドくらい。

ドリブルを武器にする選手はたくさんいますけど、リズムそのもので相手を抜ける選手はごくわずか。
サッカー好きな人にしかわからないかもしれませんが、ウェールズのギグスやポルトガルのフィーゴはリズムではなく、技術と読みに基づくタイミングで相手を抜いていくドリブラー。

それに比べて、ブラジル人のドリブラーたちは自分のリズムでボールを巧みに操って相手を翻弄する。
しかもそういう選手がたくさんいる。

それがなぜかというのは、サッカーの世界ではずっと続いている疑問ですが、その答えの1つがジンガという考え方。

この映画では、ジンガを「持っている」と思われる人たち、サッカー選手だけじゃなく、フットバレーやフットサル、カポエイラや障害者サッカーなどの選手がとりあげられて、1人1人の短いドキュメンタリーを
繋いで大きな1つのドキュメンタリー映画を作っています。

黒人系のブラジル人にジンガを持ってる人が多いかと思われがちですが、白人系のブラジル人にもジンガを持っている人はいるし、女性にもある。
「誰にでもあるよ」と言う人がいる一方で「誰にでもあるわけではない」という人もいる。


僕はこの映画を観て、ジンガとは「それぞれの体に合った動きやすいリズム」と「意図している運動のリズム」が上手く噛合っている人のリズムのことなんじゃないかと思いました。

ジンガを持っている人たちは、誰もが楽しそうで、感覚的にプレーを把握しているように思いました。
逆に「リズムが悪い」とよく言われる日本人のプレーは、考えすぎて理知的に動きを把握しているように思います。

こないだ、NHKの「ニッポンの教養」という番組でスポーツのメンタルトレーニングの先生が言っていましたけど、「緊張しすぎず、リラックスしすぎず、プレーの最初から結末まで直感的にイメージできる時は必ず完璧なプレーができる」らしいです。

イメージが大事なら、頭で考えるとダメってことですよね。

リズムに乗った状態っていうのは、運動をイメージで捉えているから、イメージしたプレーをしやすいんじゃないかと思います。

僕も趣味でサッカーをやっていますが、完璧なプレーをした時っていうのは、蹴るコースとか、蹴る力とか、身体のこなしとか、ボールの軌道はもちろん、ボールの失速と風とか地面との摩擦で起る変化まで、それからそのボールがパスならそれを受ける人が次にするプレーにとって一番いいパスとか、シュートならキーパーが取れないコースとかタイミングとか、そういう全部が1つのイメージとして明確に理解できてるんです。

それも蹴る前に全てイメージできていて、体はそのイメージどおりに動く。
半ば恍惚状態みたいな感じです。

そういう状態が起りやすいのがジンガなんじゃないかと僕は思いました。
イメージと現実を感覚が繋いでいる状態。

サンバのリズムと明るい性格、それから多少の身体能力を兼ね備えたブラジル人にジンガを持っている人が多いのは当然じゃないかなぁとも思いました。
あとは、日常にサッカーが欠かせない存在であることも必要ですね。
そういう好条件が揃っているブラジル人は、当然サッカーが上手いわけですよ。

でも、逆に言えば、日本人には「呼吸」っていう独自のリズムを伝統的に持っていますから、それに合うサッカーを生み出せればブラジルとは違う強さを発揮できるんじゃないかと。
そんな簡単なことなのかわかりませんけどね(笑)

野球は「呼吸」が大事なスポーツですから、日本人にすごく合っているんだと思います。
サッカーに「呼吸」を取り入れるのは難しいのかな。

わかんないですけど、そこは川渕キャプテンがなんとかしてくれるでしょう(笑)

サッカー好きな人は一度観てみるとブラジルサッカー観が少し変わりますから、オススメです。
レアル・マドリードのロビーニョも出てるし、サッカーファンにはオススメです。
子供にサッカーやらせたい人にも打ってつけかもしれません
ジンガ The soul of brasilian football
レントラックジャパン
ドキュメンタリー映画(俳優)ロビーニョ(俳優)ファルカン(俳優)ウェスクレイ(俳優)ロマリーニョ(俳優)セルジオ(俳優)ハンク・レヴィン(監督)マルセル・マシャード(監督)トシャ・アルヴェス(監督)
発売日:2006-10-18
おすすめ度:4.5

2008年01月31日

偉大なるオシム監督

脳梗塞で入院していたオシム監督が、日本対ボスニア・ヘルツェゴビナの試合を観戦されたそうですね。

オシム監督は、外国人監督でありながら「日本のサッカー」を作り上げようと努力してくれた監督です。

トルシエ監督は戦術で戦うサッカーを、ジーコ監督は個人の力を活かして戦うサッカーを日本に持ってきてくれましたが、オシム監督はどちらも日本人には合っていないといっていました。

オシム監督が日本で作ろうとしたサッカーは、よく知られている通り「考えて走るサッカー」です。
中田英寿がチームの頭脳であったトルシエ監督とジーコ監督のサッカーとは違って、全員が考えて全員が動いて全員が動かされるサッカー。

ジーコ監督の日本代表は、ほとんどフォワードが誰も動かないで、中田や俊輔のアシストを自分の好きな形でもらえるのを待っているだけのサッカーでした。
トルシエ監督の日本代表は、決まった形を持っていて、決まった流れがあって、局地的には個人の判断でプレーしていたものの、チームの動きは論理的な戦術に基づいていました。

そんな対極にある2人の監督とは違って、全員が考えて走るのを理想としたオシム監督。
それまでの日本代表はディフェンスと中盤でのポゼッション(ボールを持っていること)が多かったですけど、オシム監督がチームを作ってからは中盤とフォワードでのポゼッションが増えたと僕は感じました。

このサッカーが2010年までにどんな形で完成するのかすごく楽しみでした。
イタリアのカテナチオ、イングランドの4−4−2、ブラジルの個の力、日本の考えて走るサッカーというように、新しい伝統が世界に出現することを期待していました。

でも、悲劇が襲って代表監督は変わってしまいました。
トルシエ監督の前に監督を務めた岡田監督は「接近するサッカー」を目標としているらしいです。

ボールに多くの人数を接近させることによって、インターセプトもパス回しもよりスピーディーに、より的確にできるようになる、と。

運動量の多い日本人選手に向いているサッカーではあるのでしょうけど、オシム監督の考えて走るサッカーに比べて期待感が薄い感じがします。
僕はオシム監督のサッカーが見たかった。

川渕キャプテンがどう考えてるのか、わからないけど、できれば南アフリカ大会では完成したオシム監督の日本サッカーが観たかった。

岡田監督を否定するわけではありませんが、オシム監督復帰に僕は期待しています。
根本から他の国と違う「日本のサッカー」が誕生することが大事だと思います。
W杯で結果を残すことよりも。

いつまでもその場しのぎのサッカーをしていてはいけないと思う。
そろそろ発展の過程から一度身をかがめて、次の飛躍のために日本のサッカーを考え直す時期だと僕は思います。

2008年01月15日

カパーロッ!!!



ACミランが好きなぺろです。

最近、フォワードが弱いってのが問題になっていたミランですが、去年獲得した二人のフォワードがとうとう今年になって始動しました。

1人は、御存知ロナウド。
もう1人は、ブラジルの新星アレシャンドレ・パト。

ロナウドは怪我で去年は途中から出場機会を失っていました。
去年の年末辺りから順調に回復して、ウィンターブレイク(冬休み明け)の今やっと戦列に復帰しました。

一方のパトは、若すぎて登録できず、18歳になる今年やっと登録されました。
浅田真央ちゃんみたいなもんですね。

ミランのフォワードは、ディフェンダーもそうですが高齢化が進んでいて、動きが鈍かったり遅かったりが問題視されているのですが、当然パトはその枠には入っていない。
マジ超機敏☆(笑)

しかも、ブラジル人らしい型破りなプレースタイル。
カカはトップ下ってこともあって落ち着きのあるブラジル人プレーヤーですが、パトはもっとフォワード的な選手。
シェフチェンコの7番を背負っているせいかもしれませんが、シェフチェンコを髣髴とさせる攻撃力を持っていて、しかもブラジル人のテクニックやリズムを兼ね備えていて、カカ以来の衝撃デビューでした。

今後、サッカーに興味がない人も、パトの名前は覚えていなければいけません。
間違いなく、世界のサッカーを引張っていく選手になります。

カカとパトの時代が来ます。