2008年04月20日

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

新編銀河鉄道の夜宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」がどんな話だったか思い出せなくて、久しぶりに読んで見ました。

ふと思い出そうとしてみても、主人公がジョバンニで、カムパネルラというクラスメイトと一緒に不思議な銀河鉄道に乗って夜空を旅するという漠然とした記憶だけしか思い出せませんでした。


この話は宮沢賢治の童話の中で、彼が何を言いたいのかわからない謎の多い童話だと国語の授業で聴いた覚えがありました。

読んでみても、やっぱり何が言いたいのかはわからない。
もしかしたら、宮沢賢治は何を言いたいわけでもないのかもしれないと思うほどです。

でも、僕はその「何を言いたいわけでもない」というのが、あながち間違いではないような気がします。

彼の本職は、農村の生活向上のために働く活動家でした。
晩年、病に臥せって、自分の空想を全て吐き出すように書き残したのが、数々の童話だと聞いています。

「春と修羅」と「注文の多い料理店」は生前に刊行されたみたいなので、詩人や童話作家と一応言うこともできますけど、たった2作で文筆家が本職だとは言い切れないと思います。


何を言いたいわけでもない。
ただ、この話そのものが彼の言いたいことだったんじゃないか。

夜空を走る鉄道という神秘的で幻想的な空想が、彼の描きたかった浪漫なんじゃないか。

専門家に言わせるとどうなのかわかりませんが、僕はそう思います。
その不思議な感覚、思いついた不思議なストーリーを彼は原稿にして残そうと思ったんじゃないか。

「銀河鉄道の夜」は、一部文章や原稿が欠落していて、未完の作品です。
この空想を書き留めて、いつか完全な作品にするための試作品として書いたんじゃないかと思わせるところがあります。

いくつものモチーフが無造作に織り込まれ、その無造作な脈絡が不思議な感覚を助長しているところもありますが、多分、宮沢賢治はもっと深い意味を持った童話へと作り上げたかったんじゃないかと感じました。

紙に書きとめられていない彼の頭の中にしかない「未完の空想」がたくさんある気がしてならない。
そのたくさんある空想をひとつに結ぶのが銀河鉄道だという、完成予想図が今残っている「銀河鉄道の夜」であって、まだこれは素直で直接的な空想なんだと思います。

ここにもっと意味をつけたかった。
未完で終わってしまったことが悔やまれます。

宮沢賢治の空想の世界を銀河鉄道が案内してくれるような作品が、もしかしたらできていたかもしれないのに。。。
新編銀河鉄道の夜
新潮社
宮沢 賢治(著)
発売日:1989-06
おすすめ度:5.0
posted by ぺろ at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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