
最近、TV版の『新世紀エヴァンゲリオン』を最初から見直しました。
『
新劇場版』を観て、最初に作られたエヴァを観ないとこの後に公開される2つの映画に込められた意味、表現したい事や物を理解することが出来ないと思ったからです。
で、TV版を見直してみたら、今まで勘違いしていたこととか、忘れていたことが出てきて、より深くエヴァを理解することができました。
でも、まだわからないことも幾つかあるし、新しく増えもしました。
どんだけ深いんでしょうね、この作品は。
旧作のエヴァンゲリオンは、最後に映画とTV版2話が完結編になっています。
この映画とTV版は、時間的に前後している話ではなく、同時に起っていることを2つの世界から描いたものです。
映画は物理的世界、つまりシンジにとっての外界から。
TV版は心理的世界、つまりシンジにとっての内界から。
人間は内界と外界の両方に跨って生きています。
ただ、外界という存在は心理的把握を通じて始めて理解されるものですから、外界の存在は内界の存在なくしてはありえません。
だから、人は自分が自分で作り上げた「外界像」の中に生きるしかない。
そこに描かれた世界が、自分にとっての世界なんです。
人はその世界から出ることはできないし、他人の中にある世界に入ってその世界を生きることはできない。
ただ、他人の世界の中には、他人がその世界に描いた自分がいる。
アスカが描く世界の中には、アスカが見たシンジがいる。
シンジが描く世界の中には、シンジが見たアスカがいる。
そして人はその世界に自分の存在理由を問う。
シンジは母を無くし父に捨てられて、自分はこの世界にいらない存在だと思い、誰かが自分を求める理由に従って生きる。
エヴァのパイロットとして世界を救うのはシンジにしかできない、周りがそれを求めるから自分はエヴァに乗る。
アスカは母の目に自分が映っていないのを見て、そして母が自分の変わり身である人形と一緒に心中するのを見て、自分は自分、何もかも自分で決めて自分1人で生きて、周りの人間に自分のすごさを認めさせたいと思う。
だからエヴァに乗って、自分が世界を救うんだと強く心に誓う。
レイは自分が誰だか分からない、自分は作られた存在だから、自分には感情が欠如している部分があると思い込む。
自分はエヴァに乗るために作られた人間だから、エヴァに乗る。
「エヴァに乗る」というのが、自分のアイデンティティを決定する行動として象徴的に描かれています。
その行動には理由がある。
なぜ「エヴァに乗るのか」が、それぞれのアイデンティティの表れ。
ただ、そのアイデンティティに疑問がある。
誰かが乗れというからエヴァに乗る、乗りたくもないのに。
自分はいいパイロットだからエヴァに乗る、でもシンジの方が優秀。
自分はエヴァに乗るためにいるからエヴァに乗る、でも碇親子はそれ以上に自分を大切に思ってくれる。
「エヴァのパイロット」であることがアイデンティティではない。
エヴァのパイロットではない自分も存在した可能性がある。
その自分も紛れもない自分。
自分のアイデンティティは、エヴァのパイロットであることではなく、自分が自分であること。
人類補完計画によって、全ての人は求め合う理由、満たしあう理由を解決し、全ての人間の心から欠如したものがなくなる。
でも、それは自分が自分を失うことであって、そこに満足感なんかない。
人類の補完を担うシンジは、最後に補完を拒絶する。
自分は他人ではないから、自分でいられる。
自分でいられることは、とても幸せな事。
他人が自分を求めてくれるし、自分が他人を求めることができる。
不完全な心を持っていても、自分が自分であることに代わりはないし、それが自分が自分でいるいる理由だから、自分は自分でいたい、他人ではない自分でいたい。
母と言う絶対的に味方でいてくれる存在から離れる。
父と言う相対的に敵である存在と同じ様に立つ。
そこで始めて、自分が自分になる。
人間の心理的世界を描いたことで、革新的なアニメだと言われています。
アニメは外界を描くものであったのが、エヴァンゲリオン以降は内面世界をも描いていくものになる。
日本のアニメが、世界のアニメとは絶対的に違う立場にあるのは、その点だと思います。
日本のアニメは深く深くテーマを掘り下げていく。
けど外国のアニメーションは、相変わらず「動く絵」でしかない。
どっちがいいわけでもないですけど、日本では1つの表現の方法として芸術の一分野に確立されています。
オープニングにサブリミナル効果を利用していたり、黒地に白字を使うだけの映像で「動く絵」から脱却を図っていたり、斬新な手法を取り入れたすごいアニメです。
日本語の「アニメ」という言葉は今や「絵画」とか「音楽」とか「映画」とかと同じレベルに置ける言葉になっています。
宮崎アニメが芸術的領域にまで到達していますし、彼の弟子である庵野監督が作ったエヴァンゲリオンもアニメが更に新しい表現方法として使われていますし。
日本のアニメはこれからも新しい進化を続けていくでしょうね。
キングレコード
GAINAX(原著)
発売日:2003-06-25
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